あきた版11月3週号
調理加工用で消費回復目指す リンゴ産地を後世へ - 平良木亨さん
横手市増田町亀田で「ひららぎ果樹園」を営む平良木亨さん(47)。リンゴやモモ、オウトウのほか、調理に適した加工用リンゴも手がけ、同市婦気大堤の飲食店「フルラボCafe」に提供している。料理を通じた果物の消費回復、産地の継続へ奔走する。
園地2㌶で栽培し、リンゴは30㌧ほどを生産する。父と弟と作業に当たり、繁忙期にはアルバイト2人を雇う。自家販売のほかに、JA秋田ふるさとや業務用として菓子店へ出荷するなどの販路を持つ。同JAりんご部会青年部長を務め、産地をけん引する。
平良木さんは、若い世代の果物消費量減少に危機感を抱き、消費回復を模索していた。聞き取りを行ったところ、生食用リンゴはあまり買わないが、スイーツは購入するという意見に着目。加工用リンゴはパティシエからの需要が根強いことを知り、大雪で損傷していた樹体の改植に踏み切った。
フルラボCafe店主の加藤正哉さん(54)は「平良木さんが真摯に向き合って作った果物は驚くほどおいしい。豪雪地という不利な条件で取り組む努力と素晴らしさを、料理を通じ伝えたい」と話す。
同店では県内産果物の直売と、品種の特性を楽しめるジャムの製造も。角切りの果肉を入れて歯応えを残したり、酸味を生かしたりするなど工夫を凝らす。加藤さんは「果物の魅力を
発信し、県内の果樹農家を応援したい」と意気込む。
リンゴの品質についてプロの料理人から厳しい目を注がれるが「あなたからいただいたリンゴが今までで一番だった」と評価された瞬間が何よりもうれしかったという平良木さん。
一方で、猛暑や大雨など近年の天候不順に苦慮する。「今年7月の大雨では適期に防除できず病害が発生した。天候不順にも対応できる作業体系を模索していきたい」と品質向上に余念がない。さまざまな果樹の産地へ視察に赴き、先進地の事例を学ぶ。
離農などで放任園が増えると病害虫のまん延など、産地が脅かされることを危惧する平良木さん。「栽培技術向上に加え、今後は果樹農家に興味を持った若者が、地縁などなくても就農しやすい受け入れ体制を整え、産地の継続と発展につなげたい」と将来を見据える。
次号をお楽しみに!