あきた版1月3週号
コゴミ主力に多品目 6次化も 通年で収入確保 - 有限会社栄物産
北秋田市木戸石の有限会社栄物産は、多品目栽培を2004年の創業時から続けている。コゴミを柱に、ハウス48棟を含む6.3㌶で作物20種類以上を栽培。10年には6次化に着手し、生産・加工の両面から通年収入を生み出して経営の安定につなげている。
同社の栽培作物はミニトマトやオオバ、世界三大健康野菜といわれるアピオス・ヤーコン・キクイモなど種類が豊富。全国の青果市場20社や都内の料亭などに出荷する。
主力作物はクサソテツの若芽「コゴミ」で、販売収入の約7割を占める。藤嶋佐久榮代表(80)は法人化以前から約50年栽培を続けている。「通常の出荷時期は3月から4月だが、株を冷凍することで12月末から5月末まで栽培が可能」と話す。コンテナ5基で冷凍休眠させた株をハウス20棟に順次伏せ込み、ボイラーで室温を15度
に保つ。早ければ10日ほどで収穫でき、24年は15・6㌧を生産した。
同社は消費者へ安全な作物の提供を心がけ、農薬や化学肥料の使用を抑制する。「コゴミや地下茎作物は農薬を使っていない。野菜の病害虫対策として、ナノバブル発生装置で作るpH3・5の炭酸水を2千倍に希釈して葉面散布する」と藤嶋代表。うどんこ病やべと病の発生が抑えられるほか、害虫も寄り付きにくくなるという。
年間切れ目のない農業で経営を安定させている同社。さらなる収益向上を図り、10年に加工品製造を始めた。農産物加工場「美栄
ファクトリー」を建設。キクイモ、コハゼ、コゴミの茶のほか、仕入れた果実による乾燥リンゴなどを製造する。
能代市の「道の駅ふたつい」は、18年の開業から同社の作物と加工品を扱う。野口亮太副支配人は「当店は、お客さまが来店のたびに変化を楽しめる店づくりを目指している。栄物産の豊富な商品は運営の助けになり、ありがたい」と笑顔で話す。
21年からは収入保険に加入し、営農の後ろ盾としている。藤嶋代表は「今後も経営規模を維持し、抗酸化作用があるコゴミや血糖値上昇の抑制が期待できるキクイモなど、体に良い作物を作り続けたい。消費者の健康寿命延伸に、わずかでも寄与できたらうれしい」と話す。
次号をお楽しみに!