あきた版5月1週号
シイタケ 父の後継ぎ法人化 夢のある産業に - レンチナス奥羽伊勢株式会社
八峰町峰浜石川のレンチナス奥羽伊勢株式会社では、従業員やパートも含めた約35人でシイタケを栽培し、ハウス20棟を管理する。伊勢隼人代表取締役(39)は、2007年に就農。転職を機に父のシイタケ栽培を手伝い始めた。19年に事業継承し、23年に法人化。日本一のシイタケ農家になるため、奮闘が続く。
伊勢代表が対面販売した際、好きな食べ方を聞くと、多くの人が「焼いて食べる」と答えた。それなら焼きシイタケに最も適したものを作ろうと生まれたのが、同社のブランド「黒椎しい茸たけ」だ。
一般的なシイタケは、焼くと水分が抜けて縮み、食感もパサつきがちになる。一方、黒椎茸は焼いてもジューシーさを保ち、ふっくらとした厚みで食べ応えが特徴だ。
「違いを生むのは水分量」と伊勢代表。温度や湿度を細かく調整しながら、シイタケ自身が菌床から水分を吸い上げる環境づくりを大切にしている。白神山地の湧き水を使う。
栽培のベースとなる菌床は、おがくずを原料に自社で製造。種菌の植え付けから収穫までは約100日かかる。栽培時期をずらし、年間通して安定供給を実現する。
出荷先は首都圏の市場が中心だが、飲食店用や業務用など販路は全国へ広がりを
見せる。年間生産量は約400㌧。1日当たりに換算すると、シイタケおよそ10万個の収穫となる。その中でも黒椎茸は1%にも満たない。「芽を見極めて、丁寧に育てていく。量産できるものではない」と話す。
中でも特に大きさや形に優れた黒椎茸を「黒煌」として取り扱う。極めて希少価値が高く、現在は高級食材として帝国ホテルのオンラインモールで販売されている。
同社はここ数年で急速に規模を拡大。生産量は約4倍に増えたが、それに伴い課題も変化してきた。組織づくりや経営の面で壁にぶつかったという。「シイタケを育てるだけでなく、人を育て会社として成長していく難しさに直面した」と話す。
生産性を高め、従業員の待遇も向上させたい伊勢代表。農業を魅力ある産業にしていくことを目指す。「後継者不足が課題とされる中、技術の共有や人材育成にも力を入れていきたい。農業を夢の持てる仕事にしたい」と力強く話して
いる。
次号をお楽しみに!