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あきた版8月1週号
カシスで耕作放棄地再生 地域の収入源に - 山本敬史さん

 「カシスで地域に新しい仕事をつくりたい」と話すのは、京都府から仙北市田沢湖潟に移住した山本敬史さん(67)。2021年に苗木10本を作付けし、挿し木で少しずつ増殖している。耕作放棄地を活用し、カシス栽培で地域を盛り上げようと奮闘している。
 9年前に勤務していた会社を早期退社。湖畔の集落に家を借りて住み始めたが、農業で十分な収入を得ることは難しかった。若い世代が地区外へ流出している現状も知った。新たな産業や収入源となる作物を探し、ナツメやマタタビなどの薬草を検討する中、カシスにたどり着いたという。
 山本さんは「農業は未経験だったので、周囲の人々から農機具の使い方や栽培方法を学んだ。行政機関からは助言や指導を受け、作業に励んだ」と振り返る。
 当初の収穫量は10㌃当たり0・5㌔ほど。収穫まで3~4年かかり、途中で枯れて植え直したこともあったという。また、害虫のスグリコスカシバに卵を産み付けられると、木が枯れてしまうので年1回は農薬で防除している。
 今年、5月中旬から下旬にカシスの花が咲き、7月上旬から摘み取りを行った。
「一斉に熟すため、短期間での作業になる。近隣の皆さんから手伝ってもらった」と話す。木の成長も進み、今年産は10㌃当たり70㌔以上の収穫を見込む。
 農業の基礎全般などを教えた田沢湖潟地区の三浦久さんは「京都から限界集落に来てくれて大変ありがたい。とにかく一生懸命取り組んでくれている。みんなと楽しく過ごしてほしい」と話す。

 山本さんは屋号「津之國屋」の名義で、カシスの加工品開発と販路開拓に力を注ぐ。今年は大仙市長野の合同会社ダイセン創農の協力で、カシスをピューレに加工する予定だ。
 瓶詰や缶詰を試作してきたが、京都府知財総合支援窓口に相談したところ、燃えるごみで捨てられる「パウチ容器」が良いとアドバイスをもらい、販売する運びとなった。
 完成したパウチ容器を持参し、東京都内で営業する予定の山本さん。アンテナショップやレストランなどで試してもらおうと計画中だ。インターネット販売を中心に展開する予定で、自社サイトの準備も進める。
 「地域の方々や関係機関など多くの支えがあって今日がある。ご縁に感謝しながら、田沢湖の自然と向き合い、カシス栽培に取り組んでいきたい」と意気込む。
次号をお楽しみに!